本郷綜海(ほんごうそみ)

20代で起業。クラブ、ヒップホップ、渋谷系音楽の黎明期にシーンの拡大とメジャー化に貢献。

スチャダラパーなどのアーティストの所属する会社を経営するとともに、小沢健二との共作「今夜はブギーバック」や芝浦の伝説のディスコなどを手掛け、

国内外のセレブなどと交流する日々だったが、意識の目覚めを機に所有していたものほとんどを手放しスピリチュアルな旅へ。

帰国後は、活躍するヒーラー、コーチ、アーティスト、臨床心理士など癒しに関わる人たちの絶大な信頼を得てはヒーラーズヒーラーと呼ばれる。

その卓越したシャーマ

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ABC

と云っても、ジャクソン5の名曲ではなくて、青山ブックセンター、しかも六本木の、である。かつては本当によく通ったそこに、本当に久しぶりに寄ったのだ。もともとはヒルズにあるエルカフェで、いつものコールドプレストジュースを買いに行った帰り、電車に乗るわけでもないのになぜか麻布警察署の方に歩き出した私の足は、アルフィーの看板で今日のライブをチェックし、モティでの思い出などの反芻し、吸い込まれるようにABCへと入って行った。最近ついついAmazonで買い物をしがちな私だが、ピンポイントで欲しい本はともかく、おすすめやレビューなどを読んで買っても、はずしてしまうことがあり、やっぱりライブ(笑)で本屋にいないと勘が鈍る、などと考えていた矢先だった。一歩足を踏み入れると、やっぱり、あの懐かしい雰囲気は健在。ほっ。ハイヒールを履いて夜通し踊った帰りにも、飯倉片町に住む彼と喧嘩をした夜も、そこは朝まで空いてくれた。何度あのドアを開けて、お手洗いを借りたことか!笑。そういえば深夜営業のバイトをしていた男子とつきあっていたこともある。黒い革ジャンの似合うバイカーだったけど、素顔は本の虫だった。昔話はさておき、繰り返し物事が行われていたり、同じことが継続している場所には、その時間と、繰り返された内容だけの、エネルギーが積もって行く。それはその場所ならではのフィールドとなって、独特の磁場のようなものを発してはそこに存在するのだ。例えば劇場やライブハウスは、過去に演じた人たちの魂が宿り、ステージに立ってみただけでも敏感な人ならそのエネルギーの質を感じ取れることだろう。そういえば昨年は、彼とともに訪ねた南仏プロバンス地方で、ローマ帝国が作った今では世界遺産となっている野外劇場へと足を運んでみた。自分の興味のないことには、「1人でおいで」と時間をくれる彼と離れてその円形のコロシアムの中で三時間ほど過ごした。演劇、劇場の歴史的背景から、当時のローマ人の演劇への考え方、演劇をどのように庶民をコントロールすることに利用していたか、などをヘッドフォーンで聞きながら、当時の人々の暮らしに思いを馳せたりする、豊かな時間となった。最後には一番劇場のてっぺんまで登り、遠くにステージを見下げたり空の青さや古さの残された町並みを、これまた見下げたりして遊んだ。こんな風に私はこれまでの記憶だけで、充分楽しく生きていられるほどの蓄積があるのに、それでも新しい刺激が欲しくて、私はまた本を買う。